年会長挨拶

第48回日本毒性学会学術年会を2021年7月7日(水)~9日(金)の3日間、神戸国際会議場及び神戸商工会議所にて開催させていただきます。

今回のテーマは「Beyond the crisis:生命の存続に貢献する毒性学」としました。我が国においても、COVID-19感染拡大で2020年4月に緊急事態宣言が発出され、5月末には解除されました。しかし、第2波の懸念は未だ払拭されておりません。一方、我が国以外では感染者数及び死亡者数が増加し続けている多くの国々があります。このような世界的な規模での緊急事態に対して、グローバルな規模で英知を結集することが、より早期にこの問題を解決させることになります。世界中のトキシコロジストと連携し、リスク/ベネフィットを十分に議論した上で、1日でも早く治療薬やワクチンを創出することが、私たちに期待される使命のひとつであります。また、上記のテーマには「健康寿命延伸に貢献する」毒性学の意味も込められております。我々の日常生活では医薬品、食品、飲料、農薬、化粧品、重金属など様々な化学物質、電磁波及び放射能などに日々曝露されています。これらの複合的な影響をグローバルな視点で議論することは、健康寿命延伸に極めて重要であります。しかしながら、世界的なレベルで、将来の毒性学を支え、発展させる人材の数が十分ではないことが懸念されています。毒性学の未来を担う研究者をいかに育成していくか、日本毒性学会において模索が続いています。

第48回学術年会では、こうした背景を踏まえて、グローバル化を推進いたします。従来から継続しているSociety of Toxicologyとのジョイントセッションに加えて、American College of Toxicologyから年会長を招聘し、第1回ジョイントセッションを企画しております。また、US FDAを始めとした規制当局から複数のトキシコロジーレビュアーを招聘致します。さらに、米国、欧州及びアジアからもトキシコロジストをお招きし、特別・教育講演を予定しています。本年会では各国から最新、正確かつ本当に役立つ情報を提供することにより、世界最先端の議論ができると思います。一方、国内からは我が国のサイエンスを牽引する先生方を招聘し、最先端の科学と毒性学との関わりを議論させていただく予定です。特に、若手研究者は積極的に議論の輪に入っていただくことで、グローバルで通用するトキシコロジストに成長されることを期待しています。

国内及び海外におけるCOVID-19感染状況の行方が不透明であります。しかしながら、人と人とが直接会って、交流する重要性を益々強く感じております。現地開催できるよう最善を尽くすと同時に、ウェブとの併用も考慮しながら、学術年会の準備を進めて参ります。

7月7日は七夕の日です。同じ志をもつトキシコロジストが1年に1度再会することが許された特別な日となることを信じています。山と海とに囲まれたすばらしく美しい街神戸で七夕の日にお目にかかれることを心よりお祈りしております。


第48回日本毒性学会学術年会
年会長  福井 英夫
(Axcelead Drug Discovery Partners株式会社)